ある土曜の夜
蒸し暑い土曜の夜、ふとTV以外に何かが動いた気がした。
視線を外しかけ、また戻した時に彼がいた。目と目が合った気がした。
「信じられん…」そう呟きながらも心は意外に落ち着いていた。
長い時が流れたような気がした。
彼がゆっくりとスチール棚に消えていった。
ここでは秘密兵器は使えない。コンビニで20分かけ、2種類の兵器を揃えた。
「これで大丈夫なのか?苦しんで暴れ逆襲してきたらどうすればいいのだ」不安がよぎる。
息を殺しゆっくりとスチール棚の下をのぞいた。
い、いない…。
汗がじっとりにじむのがわかる。立場が完全に逆転した。
彼に見られている。どこだ、どこにいる!!
その時、ユニットバスで、シャカシャカという音がした。
今なら秘密兵器が使える!Nが教えてくれた秘密兵器”ママレモン”!ち、違う!!これはファミリーフレッシュだ。
ええい、ままよっ、おおーっ!
声にならない叫び声を上げながらかけまくった。
は、速い。と、飛ぶのか?うりゃー!!
ファミリーフレッシュの海で彼は死んだ。
力のないよどんだ夜が流れていった。
解説:初めて見るものは恐い…予想できない行動は恐怖でしかない
北海道に”彼”、Gはいません。
東京で初めて見た彼は5cmはあったと思います。印象では10cmくらいもあったように思うのですが、ショックの大きさが彼を大きく見せていたのだと思います。
彼を見てしまった以上、彼と一緒の部屋で寝ることはとても考えられませんでした。
夜遅かったですが、殺虫剤やトラップを買い出して覚悟して帰って来ましたが、彼を見つけられず途方にくれました。静かな部屋で、上下左右、部屋中を見回し何とか彼の気配を感じようと必死でした。
そして、ユニットバスで彼の歩く音が聞こえ、やっと彼を見つけました。彼は止まっていました。
そして、私も固まりました。どうして良いか分からないのです。退治しなければならないのは分かっているのですが、視界から外せず動くことができませんでした。
どうする?殺虫剤?かけてすぐ死ぬとは思えない…。逆上して暴れるのでは?何をするのが効果的なんんだ…
なんて事を考えているうちに、彼が動き出しました!
うぉおお!私は咄嗟にキッチンにあったファミリーフレッシュを取り彼をめがけて噴射しました。
以前東京に住んでいた友人Nが「彼にはママレモンが効くぞ」、と教えてくれたのが気になっていたんです。ママレモンもファミリーフレッシュも一緒ですよね。
しかし、なかなか当たりません。彼は逃げ回ります。速い!
カブトムシほどの大きさがあるにも関わらず、こんな動きができるのか!
そして不意に恐怖の瞬間が訪れました。彼がくるっとこちらを向き、羽を広げようとしたのです!
うぁあああっ!
私はパニックになってとにかくファミリーフレッシュをかけまくりました。
ファミリーフレッシュを半分も使ったでしょうか。ファミリーフレッシュの粘度が効いたのか、彼は窒息して静かに死んでいきました。
はぁぁ…。ぐったりしました。
これでやっと寝れそうです。でも、彼を処分することができず、その日はティッシュを何枚もかぶせ、存在していないことにしました。
後日、更に何枚もティッシュをかぶせ、彼の感触を感じないほどの厚さにした上で取り除き、そのままビニール袋に入れやっと処分しました。
東京には5年居ましたが、彼に会ったのは幸いなことにそれきりでした。
東京では集金詐欺未遂に遭ったり、サウナで痴漢のオヤジに遭遇したりと、東京ならではの恐怖体験もしましたが、それらを上回るほど私にとっては衝撃的な体験でした。
見たこともない者と遭遇する恐怖はそれほど恐ろしいものです。ゲジゲジ、カマドウマ以来の衝撃でした。
豆知識:ハエにはアルコール、クモや歩く虫はティッシュで生け捕り
私の家に殺虫剤はありません。殺虫剤は多少とはいえ人にとっても害があるイメージがあるので、除菌用アルコールを使っています。
ハエやコバエ、飛ぶ虫に有効です。殺虫剤と違い、台所に飛んでいるコバエにも使えるのがいいです。近くに食品や食器があっても使えるのがメリットです。
飛んでいるところに吹きかけると落ちるので、更に吹きかけて弱らせ、ティッシュにくるみ処分します。
クモなど飛ばない虫にもアルコールは有効かもしれませんが、私はティッシュで生け捕りにします。
まずティッシュをかぶせ、両端を手で押さえテンションをかけピンと張ります。虫は床とティッシュに挟まれ動けない状態です。
次にティッシュを抑えた手の平を徐々に閉じていくイメージで、ティッシュにひだを作ると虫はそのひだに挟まります。
あとは両端を閉じて捩れば虫は生け捕りの状態になります。
私は潰すのが嫌なので、外に持っていき逃がします。もちろん、ティッシュは回収しましょう。
ただし、いずれの方法も彼には通用しません。恐ろしい…。
まとめ
彼には食器洗い用洗剤が効きます。粘度があるため、気門を塞ぎ窒息させることができます。
ただし、使用後はベタベタになるので、実質家の中では使えません。
やはりゴキブリホイホイや殺虫剤で対応するしかなさそうです。
しかし、ゴキブリホイホイで捕獲された図を想像するだけでおぞましいですね。
殺虫剤も暴れそうで怖いです。最近出てきた冷凍にするスプレーは本当に瞬殺できるのでしょうか?
いずれにしても恐怖でしかありません。
東京は刺激があって楽しいところです。でも、あなたはこの恐怖に耐える覚悟がありますか?
コメント