町の小さなパン工房
入り口の外観が素敵で「パン屋さんだ」、とすぐに分かります。中は飾り気はなく、奥でパンを作っているのが見えます。
素朴でやさしい雰囲気の中、「一生懸命パン作ってます」感が伝わってくる硬派な感じのパン屋さんです。
素朴だけど素材の味を生かした季節感あるオリジナルのパンが色々あって、どれを選ぶか目移りします。
栗とキャラメルナッツのデニッシュ
栗めがけてガブリ、と行きましたが、デニッシュ部分はパイです。何層もの薄いパイ生地がシャリシャリ、パリパリ、口に入らなかった部分からこぼれ落ちます。
栗は「焼き栗」といった感じで、栗本来の素朴な甘みと、表面が焼けて少し固くなった歯ごたえと、中のホクホクホロホロの食感が楽しめます。甘栗のような味付けはしていないようで、栗の素材そのものの味がします。
栗の下にはカシューナッツとクルミを絡めたキャラメルソースが敷き詰められており、少ししんなりしたカシューナッツの歯ごたえと甘い香ばしさ、クルミのカリッとした歯ごたえと渋みのある香ばしさがキャラメルのネットリした甘さと共に、パイと栗に混ざっていきます。
更に土台部分のバターたっぷりの半生触感のパイ生地が加わってきて、口の中は食感と味覚の五重奏です。素朴な見た目だけど食べたらすごいのよ、です。恐るべし。
安納芋のデニッシュ
いもはしっとり、やわらか~、です。デニッシュはパイです。サクサクパリパリです。
いもは安納芋そのものの味がします。十分甘いです。
デニッシュには安納芋のペーストでしょうか、ほんのり甘くて生クリームやバターを感じる滑らかなクリーム状のイモのペーストが敷き詰められており、口の中でしっとりした安納芋とサクサクのパイの間に入り込み、緩衝材となってやさしく包み込んでいきます。
素朴でやさしい、まったりした安納芋のパイです。
ポムじゃがいもコーン
何とも不思議な食感です。外側はカリッとしていますが、中はモチモチ、ぷにぷに、しっとりしています。しっとり感がかなり強めで、小麦粉のパンのしっとり感とは異なります。不思議なパン生地です。
味はチーズ感が強く、外側はカリッと焦げたチーズの味、中の生地にもチーズ感を感じ、塩気があります。
じゃがいもとコーンが包まれていて、ほくほくのイモと、甘くてシャッキリしたコーンがチーズに合います。ハイジが食べてそうなお食事パンです。
メロンパン
食感はスタンダードなメロンパン。メロンのクッキー生地は少し薄めです。パンの生地はふんわり柔らかいながらも、ほどよい粘りがあって食べ応えを感じます。
食べた時の味の印象は、バニラアイスを食べたようなミルクっぽい甘さと香りを感じました。酸味はあまり感じません。食べていてなぜか中世ヨーロッパの気品のある白馬の王子様、王女様が思い浮かびました。
王女様が食べていそうなメロンパンです。
イギリス食パン
絶品です。とにかく粘りが強く、外側の耳部分はちぎるのが大変なほどです。それでいて中はふんわり柔らかいですが、粘りがありしっとりしているため、潰れるとダンゴになります。
食べるとまず耳の歯ごたえが強いです。弾力があってしばらく噛む必要があります。中の生地は一緒に潰れてしまうので、ふわふわを楽しみたいなら中身だけを食べる必要がありますが、粘りが強く結局すぐダンゴになるので、ふわふわを楽しむパンではありません。
バター感はなく、味も塩気があります。外側の粉の感触、パンの味を強く感じる歯ごたえの強い耳、耳を噛み切った時に感じる弾力のある柔らかい中身、その感触を楽しみながら噛んでいるうちに塩気が甘味に変わって行きます。
パン本来の味を感じます。止まりません。何の装飾をしていないのに、ずっと食べていたくなるパンです。赤ワインが欲しくなります。
今日も大満足。
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