前回、PCI Express2.0にM.2 NVME SSDを付けてみたら何の問題もなく動作しました。Windowsをインストールしても問題なく起動します。ベンチマーク上は従来使っていたSATAのSSDより4倍も速いです!他にどんなメリットが出るのか楽しみです。
以下の環境で、SATA SSD 、M.2 NVME SSD それぞれからWindowsを起動し、比較してみました。
PC環境
- ストレージ: SATA SSD 256GB(THNSNH256GCST)、M.2 NVME SSD 512GB(WDS500G2B0C)
- UEFIマザーボード: ASRock970 Pro3 R2.0 Socket AM3+ (PCIe 2.0 x 16 スロットが2つ)
- グラフィックボード: Palit GeForce® GTX 1070 Ti デュアル
- CPU: AMD FX8350 X8 (4.0GHz)
- PC電源 : ATX550W電源(NE550C)
- メモリ:DDR3 1600 (PC3-12800) 4GB CL11 KVR16N11S8/4 × 4枚 = 16GB
- モニター : BenQ EW3270U(31.5インチ 4Kモニタ )
- OS : Windwos10 Pro バージョン20H2
M.2 NVME→PCIe変換カードを使って構成が複雑になっている分、SATA SSDに比べると不安定になる要素が多いためか、PC起動時、NVIDIAのドライバーインストール時、FFXVベンチマーク実行時にブルースクリーン(kp41)が発生しました。少しでも安定させるため、電源オプションの高速スタートアップは無効にしました。
PC起動時間
電源をONにしてからWindowsのロック画面(景色の画像)が表示されるまでの時間をストップウォッチで計測しました。
M.2 NVME SSD:25~27秒 SATA SSD:25秒
手動の計測なので誤差ありまくりの参考値ですが、M.2 NVMEの方がほんの少し遅い、という結果になりました。体感的には全く違いは分かりません。
SSDへアクセスする時間の差は微々たるもので、ハードウェアの起動準備にかかる時間が大半を占めている、ということなのでしょう。
FFXVベンチマーク
ファイナルファンタジーXVのベンチマークをM.2 NVME SSD、SATA SSDそれぞれで実行し比較してみました。
高品質 3840×2160(4K)GPUスケジューリング:OFF
M.2 NVME SSD:3087(普通)
SATA SSD:3150(普通)
その他の解像度
以下は解像度を変更して比較した結果です。
解像度\SSD | M.2 NVME | SATA |
高品質 3840×2160 | 3087 | 3150 |
標準品質 3840×2160 | 3533 | 3709 |
高品質 2560×1440 | 4931 | 4972 |
標準品質 2560×1440 | 6044 | 6132 |
高品質 1920×1080 | 5437 | 5446 |
標準品質 1920×1080 | 6812 | 6896 |
いずれの解像度でもなぜかSATA SSDの方が若干良い(速い)スコアとなりました。ただし誤差の範囲で速度の違いは全く体感できません。
メモリを十分積んでいればCPUが必要な情報はメモリに展開されています。SSDにアクセスすることはほとんどないので何となく予想はできていた結果ですが、できればM.2 NVME SSD に勝っていて欲しかったですね。
Rise of the Tomb Raider ベンチマーク
設定
ディスプレイ、グラフィックの設定は以下の通りです。基本デフォルトですが、垂直同期だけオフにしています。
3840×2160(4K)GPUスケジューリング:OFF
M.2 NVME SSD:51.96 FPS
SATA SSD:51.96 FPS
偶然にも総合スコアはまったく同じ値になってしまいました。
3DMark
M.2 NVME SSDの3DMarkのスコアは5535でした。
SATAのSSDは5619でした。SATA SSDの方が良い結果となりました。
誤差の範囲とはいえ、なぜかM.2 NVME SSD が SATA SSDに勝てません。
SSDの速度の違いはゲームのレスポンスには関係がない、ということがよーく分かりました。そうですよね。そのためにメモリがあるわけですから。
じゃあ、SSDが速くなったメリットはないの?M.2 NVME SSDが勝てそうな種目を考えてみました。
ファイルのコピー
HDDに保存していた3DMarkのインストールファイル”3DMark-v2-11-6846.zip”(約6.3GB)をM.2 NVME SSD、SATA SSDにそれぞれコピーしてみました。
いずれも手動のストップウォッチによる計測なので参考値です。
M.2 NVME SSD:1分29秒 SATA SSD:1分29秒
SSDへの書き込み速度の差が出るのかな、と期待しましたが、差は出ませんでした。HDDからのコピーなので、HDDからのリード(読み込み)待ちが発生し、SSDの書き込み速度の差を吸収してしまうのかもしれません。
Zipファイルの展開
“3DMark-v2-11-6846.zip”(約6.3GB)をM.2 NVME SSD、SATA SSDそれぞれで展開してみました。
M.2 NVME SSD:1分17秒 SATA SSD:1分25秒
M.2 NVME SSDの方が8秒速かったです。やっとSATA SSDに勝てました。
リードもライトもM.2 NVME SSDで行うので、4倍とまではいかなくとも圧倒的な差で勝って欲しかったのですが、そこまでの差は出ませんでした。でもM.2 NVME SSDの方がが速いことは分かりました。
アプリケーションのインストール
M.2 NVME SSD、SATA SSD それぞれで3DMarkをインストールした時にかかる時間を計測してみました。
M.2 NVME SSD:5分34秒 SATA SSD:5分27秒
あら。7秒ですがSATAの方が速かったです。
単にファイルをコピーするだけならM.2 NVME SSDの方が速そうなものですが、インストールって単なるコピーじゃないのでしょうね。SSDの速度の違いはそれほど関係ないことが分かりました。
まとめ
CrystalDiskMarkの計測上はSATAのSSDより4倍も速いスコアを叩き出したM.2 NVME SSD でしたが、その速さを体感することは少なくとも私の環境ではできませんでした。
M.2 NVME SSDを購入する際、速度の速いWestern DIGITAL製にするか、安さのCFD製にするかで悩んでWestern DIGITAL製を選びましたが、どちらを選んでもそれほど差は出なかったと思われます。
どのM.2 NVME SSDを買うか?はあまり悩まなくても良い気がします。SSDであればSATAでもきっと大丈夫です。メモリさえ十分積んであれば、SSDの違いを体感することは滅多にないと思います。
ちなみに、前述の「ファイル(3DMarkインストーラー)のコピー」で約6.3GBのファイルをHDD→SSDへコピーするのに1分29秒かかりましたが、SSD間のコピーは以下の結果になりました。どちらもHDDからのコピーよりは圧倒的に速いです。PCをフルSSD化することに意味はありそうです。
SATA SSD → M.2 NVME SSD:16秒 M.2 NVME SSD → SATA SSD:15秒
SATAからM.2 NVME化による体感速度の違いは感じられませんでしたが、アクセス速度が4倍になった事は事実です。体感はできなくとも、SSDの読み書きの時間は速くなった、と思えるので精神衛生上は良いですね。何となくキビキビ動いている気がします。そう思いたいだけかもしれませんが。
M.2 NVME SSDを挿せる環境なら使って後悔することはないと思います。SATA SSDでも十分です。
コメント
最近NVMEもだいぶ安くなりましたね。
ほとんどSATA SSDと差がなくなりました。
NVME SSDのコントロールは グラボと同様CPUが担当します。
そのためCPUのリソースが少し減って、それに追従してGPUの速度も低下します。
そしてベンチマークのわずかな低下につながります。
また、NVMEスロットはチップセットにもつながっているため、m.2 SATA SSDを刺すと、SATA SSDとして機能します。
PCI-EにNVME SSDを追加するカードがありますが、それはチップセットにつながっていないのでNVME SSDしか使えません。
NVMEスロットは変形したPCI-Eスロットだと考えるとよいでしょう。
SATA SSDのコントロールはマザーボードのチップセットが行います。
そしてCPUとチップセットとの交信で、データをやり取りします。
そのためCPUのリソースには影響しません。
逆にSATA端子をすべて使い切るとチップセットが激しく発熱するかもです。
ありがとうございます。勉強になりました。
お読みいただいてありがとうございました。
NVMEの真の利点はマルチアクセス(書き込みながら別のファイルを消す。小さいファイルを大量に書き込む)の速さです。
最も実感できるのはwslやvmwareなどの仮想マシンを使うときです。
仮想マシンが仮想HDDを実行するときはマルチアクセスを激しく実行するためNVMEの得意分野となります。
試しにHDDで仮想マシンを実行した場合は音がうるさくなり激しい断片化を起こします。遅くて使い物になりません。
逆にゲームやデータのバックアップなどはシーケンシャルアクセス(大きなファイルを少し書き込む)が多いのでHDDとの体感差が生まれにくいです。